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【開催レポート】リーディング&トークセッション「HIRAKU で読むシリーズ」#1 イヴァン・イリイチ『シャドウ・ワーク~生活のあり方を問う』

2023-12-26
Written by:
HIRAKU IKEBUKURO 運営チーム
Photography:
Thanks:

先日11月24日(金)にブルーブラックカンパニーさん主催

リーディング&トークセッション「HIRAKU で読むシリーズ」 #1 イヴァン・イリイチ『シャドウ・ワーク~生活のあり方を問う』が行われました。

ほぼ満員の30名近い方にご参加いただきました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

以下主催者さまの感想レポートをシェアさせていただきます。

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かなり実験的というか、「攻めた」企画でしたが、構成・演出の川口智子さん(演出家/ほころびオーケストラ)、出演してくださった

埜本幸良さん(俳優/範宙遊泳/ほころびオーケストラ)の力量により、通常の演劇空間としての劇場とは異なる独特の空間と空気感が実現したように思います。そこでは、「観劇」というより「参加」といった方がふさわしい状態が出現し、主催側としてもとても嬉しい気持ちになりました。

少し大げさかもしれませんが、客席を制度化の呪縛から解き放つ=解きほぐす可能性への扉を少しHIRAKUことができたかもしれないと思っております。引き続き深めて考えたり、対話したりしていきたいと思っております。

プレイスとスペースとの差異も併せ、空間と社会のデザインを構想し、具体化する作業に取り組みたいとあらためて考えています。この<HIRAKUで読む>シリーズがそうした思考への架け橋となっていくこともめざしていきたいです。トークセッションでも発言した通り、私は真っ先にイリイチがこの空間に身を置いて観てくれたら、「詩人」として何というのだろうと思っていました。

次回以降の企画については、しばし関係者間でもあたためながら、思想の発掘と、若干虚を突いた選択も考えてみたいと思っております。最後に、本企画チームのメンバーとして、何より HIRAKU IKEBUKURO 01 SOCIAL DESIGN LIBRARY の設計者として、空間を活かす作業をしていただいたマシュー建築設計事務所の松原菜美子さんにも感謝申し上げます。 

中村陽一

【今回の趣旨】

ソーシャルデザインライブラリーHIRAKU IKEBUKURO 01 を知の交流のトポス(広場)としてヒラクための企画「HIRAKU で読む」シリーズを始めます。これからの社会のあり方を考えるきっかけとなるような思想家/書籍を特集して、演劇的なリーディング上演とトークセッションを行います。「本」を媒体として人と知の交流を生む、ソーシャルデザインライブラリーならではのイベントにご期待ください。来年度から年3回程度の定期的な実施を想定し、今回パイロット版としてとりあげるのは歴史学者、社会哲学者、そして経済学者でもあったイヴァン・イリイチ(1926 年~2002 年)の著書『シャドウ・ワーク~生活のあり方を問う』(玉野井芳郎・栗原彬訳、1982 年、岩波現代選書 2023年復刻版刊行)です。市場経済に絡めとられて無払い労働に追いやられてしまった「シャドウ・ワーク」かつては人間の生活の中の活動であったものが「シャドウ・ワーク」化していく背景には、市場経済の原理だけではなく、性、文化、平和など、その土地、その共同体でつくりあげられてきた思想の変質があります。イリイチの『シャドウ・ワーク』を読み、HIRAKU 劇場で少し立ち止まってこれからの私たちの生活について対話を試みたいと思います。

 改めてご登壇&ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。